COLUMN

2026.05.02

神戸建築祭

神戸建築祭は2023年よりスタートした建物公開イベントです。
戦災や震災を越えて現代に受け継がれてきた貴重な建物を、神戸の街の財産として公開し、広くその価値を共有することで、建物を有効活用したり、後世へ建物を残してゆくことを目指しています。
建築をメインテーマとして神戸の街の歴史・文化・記憶をつなぐ、というもの。

大阪の「生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪」や「京都モダン建築祭」など、近年は、街そのものを建築ミュージアムのように楽しめる建築イベントが全国各地で企画されていますね。

今年の神戸建築祭は、5月8~10日に、北野、三宮、灘、東灘、湊川と広範囲にわたって開催されます。

もちろんパスポートも購入済で、さあ、どこに行こう、とワクワクしながらパンフレットを眺めています。

4月29日には「三井倉庫株式会社 小野浜事務所 本館-神戸港の歴史を戦前から見つめてきた倉庫を特別見学するSPツアー」

があり、建築史家の笠原一人先生の案内により20名に絞って一般向けには初めて公開、というレアな見学会に行ってきました。

神戸港の物流拠点として戦前から現在に至るまで現役で稼働する三井倉庫小野浜事務所本館は、東京タワーや名古屋テレビ塔など鉄塔の設計を多く手がけ、「塔博士」「耐震構造の父」と称される建築家・内藤多仲が設計に関与し、大倉土木(現・大成建設)の施工によって建てられました。外観は、新港町にある倉庫群に比べると装飾的な要素は薄く、モダンな装いを見せています。屋上からは六甲山系から神戸港まで一望でき、屋上中央に設けられた望楼(展望室)の内部は、柱上部や天井の梁にアール・デコ風の装飾が施されたモダンな空間が広がります。
望楼からは三井桟橋(プライベート桟橋)と神戸港内部が見渡せます。以前はここから双眼鏡で近づいてくる船を確認し、荷受けの準備をしたそうです。

明治初年の生田川の付け替え工事から始まる神戸の都市計画の中の港湾施設の歴史の中に、自分の記憶と重なる部分を見つけたりして、現在、未来の神戸の姿へと思いを馳せる時間となりました。

神戸建築祭 https://kobe2026.kenchikusai.jp/

 

 

 

杉本 雅子

杉本 雅子

MASAKO SUGIMOTO