2025.09.28
日記
瓦屋根の下に在るもの
A
大川市藩境のリノベーション工事が始まった。本来の瓦葺きは土を敷いた上に瓦が動かないように馴染ませながら瓦を葺きあげる。そしてその土が野地の隙間から落ちたり容易に滑るのを防ぐために杉皮を敷くのが一般的な手法です。ところが今回、解体が進む中で目にしたのがこの杉皮ではなく、葦(ヨシ、アシ)と呼ばれる植物の茎の部分を敷き割竹を半間ピッチで打ち付け滑らないよう抑え込むという手法でした。(写真A)実はこの手法はとても珍しいもので当然私も初めての経験ですが、地元の瓦屋さんも初めて見たとのこと。
B
C
この葦はすだれや葦簀(ヨシズ)、夏になると襖と入れ替える葦戸(写真B)に使われる素材で川辺や湖畔の泥土にしげるイネ科の植物。古来から建築物は杉やヒノキといった材木だけでなく石や土、草といった自然からいただく産物を使って成り立っている。
そういえば100mほど北に花宗川という筑後川に流れ込む支流がありこの川沿いに葦が生えているのを思い出した(写真C)。おそらくは遠くの杉皮より近くの葦という発想だろう。手短なものを工夫して使うという先人の知恵かと感動した。地産地消という今時の掛け声もかつては当たり前に行われていた証拠で、先人の思いと努力には敬服するばかりである。