COLUMN

2025.01.20

日記

大川藩境のまち

昨年末、福岡県大川市にある藩境(はんざかい)と呼ばれる地域に行ってきた。
読んで字のごとくかつての有馬藩と柳河藩という二藩の境となる水路を挟んで栄えた珍しい形態のまちらしい。
現在は小保・榎津地区との地名で呼ばれ、船大工からの流れを受け継ぐ木工が盛んな地域として有名で、
木工家具や伝統的な建具を創る職人さんたちがいまだに数多く活躍する稀有な地でもある。
大川家具といえばご存じの方も多いのではないかと思う。

一般的に開発や新設道路から運よく外された地域は古い建物が良くも悪くも意外に残されることが多く、
ここ藩境も江戸末期や明治時代のころに建てられた建物が比較的多く残り、
市指定有形文化財や国指定重要文化財なども建ち並ぶ時間がゆっくりと流れてきた街並みをみることができる。

現在テトラプラスはこの大川でのリノベーションプロジェクトに関わろうとしている。
詳細はまだ公表できないが普通に考えればもう解体したほうが良いのではと言われそうな建物を復活して再活用しようというものだ。
100年200年いやそれ以上続いてきたであろう歴史と営みを中途で途切れさせないように繋いでいくことが
リノベーションの命題であると私は考えている。
それは産みの苦しみではあるがまた悩ましくも楽しい時間でもある。
まだ先ではあるが復活した姿を公表できる日を楽しみにしていきたいと思っている。

福田 浩明

福田 浩明

HIROAKI FUKUDA